更年期障害の中医学的考え方①
2022年08月16日
中医学では「閉経前後諸証」と言い、7×7の49歳前後で月経閉止を迎えこれを「断経」、「絶経」と呼びます。この時期は月経異常を伴いつつ、倦怠感、怒りっぽい、意識がはっきりしない、めまい、耳鳴り、動悸、不眠、健忘、腰背部の疼痛、焦燥感、顔面紅潮、汗出といった症状が現れます。
これらの症状は常にいくつかの症状が同時に発生するため、苦痛をもたらし、日常の生活に大きな影響を及ぼします。
原因は3つ。
1.腎虚 閉経前後は腎が弱くなるため腎に保管されている腎精が不足し、生殖機能が減退すると同時に体内の陰陽のバランスが崩れ、陰虚火旺の状態になります。逆にもともと陽虚体質の場合は陽虚になり体力の減退、疲労感の増加、冷え性がひどくなるといった症状が出やすくなります。
2.肝気鬱結イライラしやすい性格だったり、怒りすぎることにより肝気の鬱滞を引き起こし、衝・任二脈(妊娠や月経を司る脈)に失調・情志の異常をきたして症状が起こります。
3.心脾両虚思い悩みすぎたり、飲食の不摂生、過労などのため心脾両虚を引き起こし、衝・任二脈が滋養されずに閉経前後諸証が起こります。それぞれの症状について次回から詳しく見ていきます。